













大垣市中川町に歴史ある「総福寺」の寺院が佇んでいます。
このお寺を営む建主ご家族の住まいとして、境内の庫裏建替えをせていただきました。
境内には本堂と会館、庫裏がお庭を介して存在しています。
先祖から大切にしてこられた境内の庭を継承し、ずっとこの境内に佇んでいたように全体の明度に合わせた素材を提案させていただきました。
庫裏はイベント開催時等にご参加者やご関係者が立ち寄ったり、待合いの場所にしたいというご希望を受け、公共的な居場所となる和室を本堂・会館近くに配置しました。
和室は多くの方々が集い寛ぐことができながら時にひとり静寂の時間を過ごすこともできる、公私の空間。
一方で家族の居住空間は、外からの視線を防ぎながら戸外の生活を楽しむことができるよう中庭と外庭を土間でつなげ、ハンモックやピザ窯を設置、暮らしが大きく広がっていく居場所となりました。
また北側にはインナーガレージと家族用玄関を設け、境内とは別の玄関から入れるようにすることで公私を分けています。
「お寺は個人のものではなく、地域のものです。ご門徒さんだけでなく、だれでも気軽に立ち寄れる、地域に開かれたお寺にしていきたいと思っています」と、ご住職である建主ご主人の仰る言葉が境内の様々な居場所で感じていただける空間です。
設計 松尾由紀
造園 fanlandscape
写真 野村宜弘